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キュウキュウコノハズクの鳴き声が響く森のうえに、星が瞬いていた。
この森が将来に渡って存在することを願いながら、短い眠りについた。



月に照らされた水蒸気が薄いベールとなり、雨上がりの森を覆っていた。
地球上で奄美大島とこの森でしか生息していないイシカワガエルの鳴き声が谷底で響いていた。
やんばるの森が失われることを危惧し、不必要な開発に対しNoと声を上げる人々をぼくは支持したい。



イタジイの花が咲き始め、やんばるの森が若葉色に萌えていた。
精液に似た匂いが充満する雨あがりの森に、鳥たちの賑やかなさえずりが響いていた。



か細い流れの沢筋。
木洩れ日に照らされた岩のうえに、エゴノキの花弁が散らばっていた。



ダムや基地、大規模林道、沖縄本島北部にひろがる"やんばるの森"で行われる不必要な開発にぼくは反対する。
多くの人たちが守ろうとしている命や環境。
これら写真でその世界をほんの少しでも感じていただけたらと思う。



キョッ、キョキョキョッ。谷底からヤンバルクイナの甲高い鳴き声が聞こえてくるも、姿は見えず。



夜の森は生きものの鳴き音ですごく賑わっている。4000種の生物の宴。



地元の人が『ジュゴンの見える丘』と呼ぶ場所から海を眺めた。
リーフで砕けたうねりが白い線を描き、蒼い海の先へと続いていた。
リーフの内側にはジュゴンの餌となる藻場が点在し、数多くの食跡が潜水調査で確認されている。
ジュゴンと共に生きることはそんなに難しいことじゃない。
ぼくらの生活のために、ジュゴンと共に生きよう。



エメラルド色に染まる海はなんだか別世界にも見えたけれど、この海は途切れることなく東京湾と繋がっている。
そう思うと不思議と親近感に似た感情が沸いてきた。
この海があるから、ぼくの海があるんだと。



埋め立てで揺れる辺野古の砂浜。
沖合に広がる藻場は県内最大規模で、海の揺り籠として多くの生きものを育んでいる。
ジュゴンはシンボリックな存在になっているけれど、ジュゴンが暮らしやすい環境は、ぼくら人間にとっても有益な場所だと思う。